ここに展開する理論では、存在確定に関する時空構造に二つの仮説を持ち込んでいます。一つは磁気 の発生は電場の伝播における光行差が原因とすること、もう一つは存在の確定は1時点に1方向にしか 行なわれないとするいわゆる「1時点1方向確定」の仮説によって存在確定に関する時空構造に一つの 変更を与えます。そうすると古典力学と量子力学は同一の原理の上に成り立ち、電子は点粒子でありな がら極く自然な形でスピン角運動量、半整数スピンの存在を示します。そして波動関数に新たな解釈を 加えます。また質量および力の本質を解釈しなおすことによって量子的構造が古典力学と論理的に連続 性を持って取り込まれます。特記すべきは点粒子としての電子の自己エネルギーの発散が無くなる古典 的構造を示す事です。
著者は「古典力学」と「量子力学」という既に確立した理論を基本的な概念からもう一度組み立て直 そうと試みています。
これによって古典力学的世界観と量子力学的世界観の論理構造の衝突という矛盾を解決する道が模索 され、この宇宙は原理的に相容れないように見える2つの理論体系、量子力学と古典力学が実は一つの 時空構造から導かれるとの考えに到っています。
ここに掲げる理論の類型は現代の理論物理学の流れになかには何一つ見当たりません。理論物理学の 本流におられる研究者からは「そんな理論は聞いたことも見たこともない」と言われる事でしょう。筆 者は20代前半から理論物理学について関心をもち、研究を重ねていましたが、諸般の事情から原子力 工学という技術系の道を進んだため、理論物理学の本流に乗ることはありませんでした。しかし、冒頭 に述べた疑問はずっと持ち続けていました。電磁気学や量子力学を全く別の観点から論じ直すことは多 くの科学者により過去に何度も試みられ、その都度取捨選択されてきましたから現在の理論物理学の主 流からみれば、ここに取り扱うテーマは過去の課題に属すとみなされ、従ってこれらの問題に興味を 持ったとしても最先端の論文誌ではこれらを取り上げる余地をもたない傾向にありました。しかし逆に 言えば、筆者は職業柄から当時の理論物理学の本流に乗る必要がなかったことで、何ものにもとらわれ ることなく、全く自由な発想から疑問に立ち向かうことができたように思います。
CERN(欧州原子核研究機構)をはじめ各国の素粒子研究機関における一連の実験により、素粒子の量
子力学的世界像がほぼ確立した昨今、量子論をも含む宇宙論がテーマとして増えてくると思われます。
するとここに掲げたような課題は避けて通れなくなるでしょう。ここに論ずるテーマについては物理学
の本流からみれば何一つ確立していないということから多くの論点があると思われます。従って、今後
実験的な検証が必要であるし、また多方面から論理的検討が必要であると認識しています。筆者はこの
テーマに関して一つ一つ実験的検証を積み上げていけば、現代物理学が抱える最大の難問、古典力学的
世界観と量子力学的世界観の論理構造的な衝突という矛盾を解決する道が開かれるであろうことを期待
して、この報告書を公開することにしました。
旧版「時空構造と存在の確定」をご希望の方には送料負担していただければ本体は無料で提供いたします。 下記まで500円分の切手同封の上封書でお送り先を記してお申し込みください。 郵送でお送りいたします。 〒386-0503 長野県上田市下武石434−2 松原邦彦 宛て