武石の郷から平和を考える

ロシアのウクライナ侵攻

松原 邦彦(2022.3.20)

 2022年2月24日に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻は次第に泥沼にはまり、避難民が1千万人にいたるという。戦争による犠牲者は停戦を実現しない限り日々累積するばかりだ。 いかなる理由をもってしても戦争は悪である。何はさておき人の命が失われるのを止めなければならない。

[現状において戦いを止める唯一の方策は何か]
 ウクライナが中立の立場を貫くことである。
 こう言うとそれはこれはロシアの要求の1つでは無いか、ロシアの要求に屈服するのか、との反発があるであろう。
 しかし現状において戦争を止める手段はこれ以外にない。もちろんロシアの侵攻は卑劣であり、正当性は何一つない。ロシアのプーチンは状況を見誤っている。そこでウクライナが西欧諸国の援助で戦いを続けたとしよう。そうすると悲惨な結果が待っている。プーチンは苦境に陥っている様子が伺われる。だから余計に危ない。追い込まれると生物兵器、化学兵器、そして核兵器も持ち出す可能性がある。より多くの犠牲者を生み、廃墟を増やすと判っていながらさらに武器の力に頼る。そういう悪夢に陥ってしまう。
 武器を使って平和を勝ち取るという理屈の世界から脱することが必要です。武器を持たないことによって平和を守る、という世界こそが人類の到達すべき社会。その初めての試みは戦後の日本であった。しかしその後この試みは上手く行っていない。しかしその思想は生きている。今日の日本の発展はその思想のたまものである。人類の未来はこの思想の浸透によってのみ保証される。
 今回のウクライナ情勢はこの思想に基づく平和の社会を築く格好の機会であると捉える。ウクライナ大統領は人類社会の未来を切り開く展望をもって「中正・中立」、「非武装」の国家を 目指して欲しい。核の傘やNATOと組むことは「武器を使って平和を勝ち取る」という矛盾に満ちた理屈の世界をさまようことで、平和は決してやってこない。ウクライナはNATO加盟を望まず、中立を貫くほうが安全であろう。
 国境を接する周辺の全ての国々と不可侵条約を締結し、中立を守り、産業、文化の自由な交流を図って、争いが無く、発展する国になってほしい。今ならまだウクライナ大統領にはそのリーダーシップをとり得る。

参照:(ローマ教皇の演説)武力で平和を守るかのようにふるまうことへの不安と苦しみの声を代弁する」