ガン消滅の方策



人体の免疫システムの制御の提案-(松原邦彦 2012.8.13)

 免疫的療法は生体が本来持っている抗腫瘍機能に基づく療法です。
西洋科学によるガン治療は全て腫瘍を直接除去する方法で、薬剤の作用も、直接腫瘍細胞を攻撃
して消滅を計るものです。免疫的療法はこれと原理が違いますから、単なる投薬と勘違いして短
期間に現れる即効的な効果を期待してもそれは無理というものです。

 免疫的療法はガン細胞の直接攻撃という手法でなく、ガン細胞を生体のコントロール下に置く
ことでガンを克服しようと言う手法です。それにはこの治療を行う人がまずガン細胞の生理を
十分よく認識していることが必要です。

 ガン細胞の増え方は存在するガン細胞の数に依存します。このことはネズミの増殖と同じと考
えれば簡単に理解できるでしょう。数が多くなればそれに比例して一定期間当りの増加率が大き
くなっていきます。一方ガン細胞も様々な理由で死滅するものがあります。その主な原因は生体
が持つリンパ球の攻撃です。人間のリンパ球はほぼ一定数ですから、ガン細胞の増殖率のように
ガン細胞数に比例して多くなることはありません。

 正常人の場合、血液1マイクロリットル中の白血球は約6000個程度あり、そのうちリンパ球は
30−40%として約2000個。1ミリリットル中に2百万程度あるのですが、これらは体内のあらゆる
侵入者、細菌やウイルスに対処しなければなりませんから、ガン細胞の周りに集まることが出来
るリンパ球の数は様々な理由によりかなり限られてきます。一方ガン細胞は直径1cmの場合で
数億個という数になります。

 少し数学的な話になりますが、がん細胞の増減はおおよそ次の式に従います。
   dN
     ----- = λN - Kn
       dt
ここでNは現在の体内にあるガン細胞数、tは時間で日数で数えるとします。λは対象とするガン
細胞特有の定数で、体の状態、あるいはがん細胞の性質や、栄養捕獲状態で一般的には期
間によって変化します。Knはリンパ球の攻撃その他の原因にによる1日あたりガン細胞の死滅数で
す。1日当り増殖数λNを上回れば、ガン細胞は次第に数を減らしてゆきます。、もしこの逆でし
たらガン細胞は増え続けます。その程度は両者の差(λN - Kn)に比例します。免疫的療法はこの
差をコントロールすることでガンを克服しようというものです。

 まずは両者を平衡状態近くにコントロールすることが戦略の第1歩となります。もしガン細胞が
あることが分かったら、その初期値Nを可能な方法で出来る限り減らすことが必要です。一般には
手術、放射線、抗ガン剤治療、その他使用できる方法を動員します。もちろんこのとき体力を消
耗しきってしまうと元も子もなくなりますから、採りうる方法には限界があります。

 何でも根こそぎ取るということを目指すのでなく、その後の免疫療法に耐え得るだけの体力を
温存させた上で、初期値Nを出来る限り減らしておくのが原則です。このことは現在の医学界では
腫瘍専門の医師ならばよく認識されているはずです。

 そこで全てのがんを消滅できなかった、全部取りきれなかったからと言って悲観したり、希望を捨て
ては患者の負けです。リンパ球の1日あたり攻撃数nと1日当りガン細胞増殖数λNの差(n-λN)
をゼロかプラスに出来るガン細胞数Nまで減らせれば第2次の戦略が立てられます。

 ガンが発生したときにはNが十分小さく、リンパ球の攻撃が正常であれば消滅できたはずです。
ガン細胞が増加の道を辿ってきたと言うことは何らかの原因でリンパ球の攻撃が損なわれていた
ことを意味します。そこで既にリンパ球の数を減じる原因があればそれを取り除いて正常な数に復
活させます。これには生活習慣の改善、ストレスの軽減などの戦略が不可欠です。何がリンパ球
の攻撃能力を落としていたか、患者自身の生活習慣を振り返ってその要因を分析することが不可
決となります。

次にガン細胞の周りに集まるリンパ球の数を増やすことです。体の中には莫大な数のリンパ球が
あったとしても、必要な場所に集まらなければ役目を果たせません。ガン細胞を識別できて、集
まってくる能力を持たせることです。さらに集まったとしてもその攻撃力が弱ければやはり役に立
ちません。そこで一つ一つのリンパ球の攻撃能力を強化することです。これが免疫的療法です。

抗腫瘍活性とは(松原邦彦 2008.1.22)


  免疫細胞の中でマクロファージ、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、NK細胞などは連携してガン化
した細胞を見つけ、攻撃し、やっつけます。キノコの成分中のβ-グルカンという多糖体が体の中
にはいると、上の様な免疫細胞の連携を保つある種のタンパク質(インターロイキン12と呼ばれ
る)が多く放出され、免疫細胞の数が増えると同時にガン細胞を殺す機能が活発化する効果があ
ることが解っています。

  免疫系には「細胞性免疫モード」(Th1モード)と「液性免疫モード」(Th2モード)の2つがあり、
前者はウイルスや細菌、がん細胞攻撃モードであり、後者はバクテリアや寄生虫、花粉などの進
入異物質攻撃モードであることが知られています。がんと闘うにはTh1モードの免疫細胞を増やす
必要があります。(注1)

  キノコにはTh1モードの免疫細胞を刺激し、活発化する成分があることが知られています。活性
化したT細胞はB細胞に信号物質を送り、B細胞はIg-G抗体を生成します。この抗体は主にウ
イルスなどの異細胞を攻撃します(注2)。Th1モードの細胞が増えると相対的にTh2モードの細胞
が数を減らします。

 アレルギー体質のかたはTh2モード優位になっている可能性が高いと判断されます。なぜなら、
Th2モード下で信号物質がB細胞に送られるとB細胞はIg-E抗体を生成します。この抗体は肥
満細胞に作用して進入異物質に対してアレルギー反応を起こします。

 風邪を引きやすい体になっている場合、免疫細胞がTh2モード優位なっていてウイルスの攻撃
力が落ちていると考えられます。

 これらの状態によって免疫細胞のモードが改善されたかどうかをある程度把握できます。例え
ば花粉症が改善された場合はTh2モード優位からTh1モード優位へ切り替わっていることを示しま
す。

 注1)免疫細胞の働きには個人差があります。ガン細胞の性質や、その人の免疫細胞の性質によ
  り、ターゲットが十分に見分けられない場合がある模様です。またβ-グルカンに対する免疫
 細胞の活性化反応にも個人差があって、これらの判定方法はいま研究段階にあります。

 注2) Ig-G抗体の働きは複雑で、すべてがわかっているとはいい難い現状にあります。